小繋事件 後世に残そう 一戸町に100周年記念碑
「山は誰のもの」をスローガンに住民が地元で暮らす権利(入会=いりあい=権)を主張してたたかった小繋(こつなぎ)事件の裁判から105年目の10月15日、一戸町で小繋事件100周年記念碑建立式典が開かれました。岩手小つなぎの会(宮脇善雄世話人代表)が主催し、60人が参加しました。
入会とは、住民が山林等を共同で管理・利用する仕組み。裁判は小繋山の入会権の確認をめぐり、1917年から半世紀も争われました。敗訴しましたが、入会権の存在は消滅せず、現在では利用促進に向けた町と住民との協定締結が検討されています。
除幕式で宮脇氏は、裁判では「生きる権利を守れ」と全国の人たちが立ち上がったと強調。同会の早坂啓造前世話人代表(故人)が裁判闘争を後世に残そうと全資料をデジタル写真に収めたと語りました。
地元代表の外谷長一郎氏(83)は「立派な記念碑が立ち、先祖も喜んでいる」と話しました。
稲葉暉(あきら)元町長、早坂直人氏(早坂啓造氏の長男)、小説『こつなぎ物語』作者の野里征彦氏、映画「こつなぎ」の中村一夫監督が来賓あいさつ。稲葉氏は「持続可能な社会をめざす上で記念碑は重要な意味を持つ」、野里氏は「小繋は海外で注目のコモンズ(共有財産)論の貴重な資料だ」と語りました。