「オール岩手」共同の力 知事選 達増氏10万票差の勝利
全国注視の岩手県知事選が3日に投開票され、「オール岩手」で5期目をめざした達増(たっそ)拓也氏(59)が、自民党が全面支援した千葉絢子氏(45)に10万4387票(得票率では59%対41%)の大差をつけて勝利しました。
本気で県政奪還を狙った自民党は昨年末に前県議の千葉氏を擁立し、大規模な宣伝・組織戦で先行しました。しかし、達増陣営が経済界も含めた「オール岩手」の共同の力で実績と政策を浸透させる中、千葉陣営は急速に勢いを失いました。
岩手日報4日付は、同社の選挙中の世論調査で「自民支持層の4割が達増氏側に流出」したと報じました。
達増県政は憲法13条の幸福追求権の保障を基本に、大震災津波からの復興、子育て支援、物価高騰対策で全国にも誇れる実績を挙げてきました。
子育て支援では、▽保育料の第2子からの無償化▽在宅育児世帯への月1万円の助成―を4月から開始。選挙中に「2人目の保育料がゼロになって本当にうれしい」との声が、県民から相次ぎました。
県内でコロナ感染が再拡大し、コロナ入院患者の7割を受け入れてきた20の県立病院体制の維持・充実が大争点に浮上しました。
千葉氏が「20の県立病院の維持は非常に難しくなる」(岩手日報)と述べたのに対して、達増氏は「岩手の強みの医療をさらに充実させる」と明言。県立病院が主な医療機関の町では「県立病院を守ろう」との声が広がり、達増氏への支持につながりました。
明るい民主県政をつくる会(明るい会)の中野るみ子幹事長は、「『赤字だから』といって公立病院をつぶすのは県民の命に関わる大問題です。20の県立病院を守ろうという訴えには大きな反響があった」と語ります。
知事選では、政策論争と同時に「誰のための県政か」が鋭く問われました。
千葉氏は、知事は国への忖度(そんたく)なしには財源確保ができないと発言。自民党は「国との太いパイプが必要だ」と繰り返しました。県民の方を向いて政治行政を進め、不十分な国の姿勢を変えるために、ものを言う達増氏との違いが浮き彫りに。応援に入った日本共産党の小池晃書記局長は「国の悪政を流し込むパイプなどいらない」と批判しました。
岩手日報は4日付論説で、「千葉氏は国とのパイプも訴えたが、まがりなりにも地方分権の時代で、その種の主張に時代錯誤感は拭えなかった」と評しました。
共産党と明るい会は達増県政の実績をわかりやすく伝えるビラを作成し、全県に配布。宣伝と支持拡大に力を尽くしました。
選挙結果は次の通りです。
当達増 拓也59無現 336502
千葉 絢子45無新 232115
(投票率56・63%)