障害ある人もともに きょうされんが陸前高田で全国大会
「ここからつたえあしたを生きる」「災害時も障害のある人の命と健康を守ろう」をテーマに、障害者支援団体「きょうされん」が9月30日、第45回全国大会を陸前高田市内で開きました。戸羽太市長が実行委員長を務めました。自治体の首長が委員長を務めるのは初めてといいます。
オープニングは、東日本大震災3・11を体験した生徒がよんだ短歌をのせた曲で始まりました。舞台の踊りに合わせ、会場の参加者も手を振りました。
きょうされんの斎藤なを子理事長があいさつ。震災やコロナ、ロシアのウクライナ侵略で、社会のもろさが表れたとして「自助や自己責任論では決して人権は守れない」と話しました。
藤井克徳専務理事は、日本社会の表層では障害者政策が進む一方、深部の障害者差別は残ると指摘。障害者らに不妊手術を強制した旧優生保護法の被害を、市民的課題に引き上げ解決しようと訴えました。
公開特別シンポジウムで戸羽市長は、復興にあたり目指すのは「障害のある方もない方も、みんなが安心して暮らすことが当然になる社会」と発言。障害者と相談しながら、バリアフリーをめざした公共施設をつくった経験を紹介しました。
奈良県から参加した女性は、大震災時に同市での障害者実態調査で会った、自閉症の青年について話しました。震災で大黒柱の母を亡くし、病気の父、初期の認知症の祖母と仮設住宅で暮らしていました。青年が被災前と同様に母にあいさつしようと、毎朝家族に呼びかけ、作業所での友人の話をしていたことで、家族は生き抜いたといいます。「障害のある人もふさわしい社会参加の場があれば生き抜けると実感した」と話しました。
大会は全国から障害者や共同作業所関係者など約1400人が参加し、分科会や観光視察など翌10月1日まで開かれました。また、地元の市民団体からたくさんのボランティアによる協力体制で運営されました。
戸羽市長のあいさつ
きょうされんとの出会いは東日本大震災直後のことです。現在の専務理事・藤井克徳さんが、障害者のみなさんの様子を尋ねてこられました。把握できていない旨を正直に答えると、「名簿を貸してください。われわれが仲間の安否について調査をします」と言ってくださいました。当時法整備もされておらず壁がありましたが、私たちは名簿を託すことにしたのです。
以来、信頼関係を築き話し合いながら、みんなが住みやすいまちづくりをすすめてきました。市の中心は、車いすでも行動しやすいようできるだけ段差をなくしています。入口にスロープのある店も多く、すべての店に筆談ボードがあります。市がより住みやすくなるよう、大会参加の大会参加者のみなさんにアドバイスをいただきたいと思います。